広島東洋カープは、2021年度ドラフト会議で関西学院大学の左腕・黒原拓未投手を1位指名しました。
隅田知一郎投手、山下輝投手の両左腕を抽選で外し、外れ外れ1位での指名になりましたが、MAX151km/h のストレートを軸に緩急のあるピッチングが持ち味で、『関西No.1サウスポー』との呼び名も高く即戦力として期待されている投手です。
今回は、黒原拓未投手のこれまでの成績や評価などを調べてみました。
・プロフィール
名前 黒原 拓未 (くろはら たくみ)
生年月日 1999年11月29日
現年齢 21歳
出身地 和歌山県海南市
身長/体重 173cm/72kg
投打 左投左打
ポジション 投手
所属 日方スポーツ少年団(海南市立日方小学校) → 海南市立海南中学校 → 智弁和歌山高校 → 関西学院大学
小学校1年生の時に父・和男さんが監督を務める日方スポーツ少年団で野球を始め、海南市立海南中学校では軟式野球部に所属していた。
海南中学から智弁和歌山に進学し、1年秋からベンチ入り。
2年秋からエースとなった。
3年夏に甲子園出場。
センバツ優勝校の大阪桐蔭との2回戦で先発し、6回途中1失点と好投したがチームは敗れた。関西学院大学では1年春からリーグ戦に出場。
4年春は5勝1敗(3完封)、防御率0・70をマークし28年ぶりの春季リーグ優勝に貢献。MVP、最優秀投手賞、ベストナインに輝いた。
10月11日に行われた2021年度ドラフト会議にて広島東洋カープから1位指名を受けた。チャームポイントは八重歯。
・高校や大学の通算成績は…?
・高校時代の成績
智弁和歌山では1年生の秋からベンチ入り。
2年秋の大会からエースを任された。
3年夏の大会前に右肘痛を発症し、県予選には3試合11回イニングの登板に終わる。
先発を務めた決勝の紀央館戦で9回途中7安打3奪三振2失点の好投をみせた。
甲子園1回戦・興南戦の登板を回避し、2回戦の大阪桐蔭戦で先発し6回途中1失点の好投も1-2で敗れた。
甲子園成績
試合 回数 被安 奪三 四死 自責
17夏: 1 先 5.1 6 4 2 1 136㌔ 大阪桐蔭
通算: 1 5.1 6 4 2 1 防1.69
被安打率10.13 奪三振率6.75 四死球率3.38
・大学時代の成績
関西学院大では1年生の春季リーグ戦に出場。
主に先発として8試合に登板し、2勝3敗、防3.79で投手ベスト10入りを果たした。
秋には自己最速を更新する150km/hを計測。
2年生春季リーグからは主戦としてチームを牽引。
3年生までは制球面に問題があり調子の波が大きかった。
11月に左肘の遊離軟骨除去手術を受け万全の状態で最終学年を迎え、フォームを右足を踏み出した時に膝が割れないようにし、セットポジションに入った時の左手首の角度など、投球時の細かな動作を見直したことで制球力や変化球の精度が一気に向上した。
春季リーグ戦は5勝1敗、防御率0.70の活躍で最優秀選手、MVP、ベストナインに輝く活躍で関西学院大を2013年秋以来のリーグ優勝に導いた。
試合 勝敗 回数 被安 奪三 四死 自責 防御率
18春: 8 2勝3敗 35.2 29 25 22 15 3.79( 9位)
18秋: 9 2勝3敗 49.2 43 29 21 16 2.90(10位)
19春: 10 3勝4敗 59 48 49 24 18 2.75( 9位)
19秋: 5 0勝2敗 10.1 10 9 9 8 6.97
20春: 開催中止
20秋: 4 1勝2敗 16.1 14 24 3 7 3.86
21春: 8 5勝1敗 51.1 24 42 18 4 0.70( 1位)
通算: 44 13勝15敗 222.1 168 178 97 68 2.75
被安打率6.80 奪三振率7.21 四死球率3.93
【 全国大会 】
21選 回数 被安 奪三 四死 自責
松山大 先 7 5 8 1 1 147㌔(神宮) ○
慶応大 先 5 5 3 3 2 147㌔(神宮) ●
12 10 11 4 3 防2.25
被安打率7.50 奪三振率8.25 四死球率3.00
・世間の評価は…?
最速151km/h。
持ち球はカットボール、スライダー、チェンジアップ、スプリット、ツーシーム。
黒原投手自身はカットボールに自信を持っているようです。
黒原投手は今年に入って評価を大きく上げており、佐々岡監督も「僕も映像を見て、すばらしい投手だと思った。これは即戦力」と高く評価しています。
しかし、森下暢仁投手や栗林良吏投手といった新人王クラスを一本釣りしたドラフトが続いていたこともあり、外れ外れ1位という結果を悲観する声や落胆する声も少なくありませんでした。
ドラフトから数日経ち、ファンも冷静になったことで黒原投手の評価は変わってきているのでしょうか?
- 球威あるからリリーフやれるやろみたいな評価なんかな?
- 黒原は未知数よなこのタイプだから奪三振マシーンと思いきやそうでもないし選手のタイプがわからん
- 意外といい線行くと思うわ 年間ほぼローテ入りして2点台後半で8勝7敗ぐらいやるで
- 黒原は動画で見ると意外に変化球が良いのとストレートも高めに浮きがちだけど悪くないしコントロールも壊滅的ではないな
- 黒原は低めさえ制球できるなら活躍できると思うよ それが出来るかどうか未知数だが
- 左投げは誤魔化しが効くから150出るなら最悪リリーフでもええ、てか8回の男になればええやん!
- 正直数字だけ見ると今年は隅田も別にここまで競合するほどかなって印象だわ
- 広島の外れ外れ一位はだいぶハードル上がってるからな 本人がプレッシャーで押し潰されてしまわないかだけが心配や
・・・ドラフト後初となった公式戦登板時のコメントなんですが、先発としてバリバリ活躍できなくても中継ぎで投げてくれればいいと現実的な見方をするファンが増えてきているように感じました。
森下投手や栗林投手のように派手な活躍は黒原投手には出来ないかもしれませんが、スカウト陣は別な面でも黒原投手を評価して上位候補にしていたようです。
【 #大学野球 】ドラフト上位候補の関学大・黒原拓未が今季初登板 2回無失点3K https://t.co/Xh8xHMpUsF #野球 #baseball pic.twitter.com/axqUwmOv30
— スポーツ報知 (@SportsHochi) October 3, 2021
黒原投手は座右の銘として『万里一空』(1つの目標に向かって努力し続けること)を挙げており、リーグ戦後は登板日でもベンチ掃除をするマネージャーを手伝ったり、週1度の貴重なオフの日でもグラウンドに姿をあらわし、コツコツと練習に取り組む姿にスカウトは人間性の高さを感じていたそうです。
こういう選手は応援したくなりますよね?
また、黒原投手にとって心強い応援者もいます。
カープファンとして有名な岸田文雄首相がドラフト後に「ようこそ黒原拓未投手!」「今、広島カープは左腕投手が充実しつつあります。黒原投手には即戦力として、カープ投手王国の一翼を担っていただければと大きく期待を寄せております」とツイートし、黒原投手を激励しています。
総理大臣から激励される機会はなかなかないと思いますし、是非その期待に応えてほしいですね!
・「広島焼き」発言で炎上…?
黒原投手が炎上?
ドラフト後初のマウンドで4回6安打1失点、10月17日の近大戦では1イニングを無失点に抑えたはずでしたが…。
どうも野球ではなく、広島県民にとっての“タブー”に触れてしまったようなんです。
「広島」のイメージを聞かれて「広島焼き」と答え、ほおを緩めた。ちなみに「広島焼き」を食べたことはないという。「球界を代表する左腕と呼ばれるようになっていきたい」と力強く語った。
出典 毎日新聞
広島では、お好み焼きのことを「広島風お好み焼き」「広島焼き」と呼ばれることに難色を示す人が少なくありません。
ある番組で「広島焼き」とテロップを表示したところ広島県民から抗議が殺到し、再放送では「お好み焼き」とテロップを修正して放送することになりました。
また最近では、「岸田派の大西宏幸防衛大臣政務官(大阪出身)が、岸田氏の投稿した「お好み焼き」のことを「広島焼き」と呼んだのだ岸田氏の地元・広島では「広島焼き」の呼称は一般的ではないとされ、ネットで指摘を受けた大西氏は謝罪に追い込まれた」ことも話題になっています。
黒原投手の「広島焼き」発言に対するコメントを拾ってみました。
- これは教育やろなあ
- 広島焼きって言ってしまいましたなあ
- 広島の人これ聞くとイラッとするより???ってなるらしいな
- 広島風お好み焼きっていっても怒るぞ「お好み焼きや!」っていわれる
- お好み焼き、せめて広島風お好み焼きやな 広島焼きいうもんはないんや
- 広島人からしたらまず他県に出て広島焼きが何か分からんからビビるんよ
- スラィリーきもいとか広島焼きとか言ったら 居酒屋が一瞬ざわつきが消えて静まりかえるからな
- 関西の人は広島のをお好み焼きとは言わんやろ 悪意なくナチュラルに広島焼き言うんや
- 関西人は広島焼きって普通に言うぞ 悪気なんてないし何が問題なのかも分かってない
- そんなタブーがあるなんて知らんかったわ 同じ日本でも日本でも地域によっていろいろあるんやな
- 去年の栗林も言ってたからセーフ
- 関西人やけど広島焼きの方が美味しいから好きやで
- まあ、ぶっちゃけ広島焼きの方が美味いのは確かや だからむしろ広島焼きでええやん?地名入ってる方がアイデンティティ確かやし
ただ、掲示板やSNSで多少話題にはなりましたが、炎上というほどではなく多くの人は広島あるあるのネタとして楽しんだようです。
最後は関西と広島のお好み焼きどちらがおいしいか論争にはなっていましたが…。
それはそれで炎上案件ですし、正直どちらが美味しいかは結論はなかなか出ないのではないでしょうか?
ドラフト1位、関学大の #黒原拓未 投手の指名あいさつが始まりました。カープからは佐々岡監督も訪れています。 pic.twitter.com/sngVXGBRo1
— 中国新聞カープ番記者 (@chugoku_carp) October 19, 2021
黒原投手のことを「令和の大野豊」さんになれる存在とメディアは期待を込めて呼んでいますが、左腕の代表的投手として大野豊さんの名前がいまだに挙がることに違和感があります。
右腕なら黒田博樹さんや前田健太投手といった比較的最近の選手の名前がすぐに上がりますし、左腕が大野さんの名前くらいしか上がらないのは、20年以上も球団を代表するような左腕が育っていないことの裏返しだとも言えるのではないでしょうか?
(現阪神2軍育成コーチの高橋建さんは、晩年にはメジャーリーグにも挑戦するなど活躍はしましたが、大野さんほどのインパクトは…)
しかし、今のカープには床田寛樹投手、高橋昂也投手、玉村昇悟投手、森浦大輔投手、塹江敦哉投手、高橋樹也投手、戸田隆矢投手(育成)といった左腕が揃っており、この投手陣に黒原投手、森翔平投手が即戦力として加わることで、かつてカープが左腕王国と呼ばれたような時代を再び築くことも可能になるかもしれません。
黒原投手が先発、中継ぎどちらで起用されるかは今のところ分かりませんが、どこで起用されるとしても、これまでの野球生活のように堅実にコツコツと実績を積み重ねていってもらいたいですね。
最後までお読みいただきありがとうございます。