「NHKをぶっ壊す」のキャッチフレーズで政界に風穴を開けた「NHK党」党首の立花孝志氏。
今年7月10日に投開票が行われた参議院選挙では、NHK党が比例代表で1議席を獲得し、暴露系YouTuberのガーシーこと東谷義和氏が当選したことが話題になりました。
今回は、立花孝志氏の経歴や支持を受ける理由、そしてガーシーこと東谷義和氏をなぜ擁立したのかについて迫ってみようと思います。
・プロフィール
引用元 https://mobile.twitter.com/
名前 立花 孝志 (たちばな たかし)
生年月日 1967年8月15日
現年齢 55歳
出身地 大阪府泉大津市
身長 179cm
血液型 A型
所属 渡邉エージェンシー NHK党
・一体何者…?
「NHKをぶっ壊す!」
NHKの政権放送にて、「NHKをぶっ壊す」と大きな声で叫ぶ立花孝志氏の姿は大きなインパクトを与え、若者を中心に支持を集めていきました。
2022年3月には、芸能人やYouTuberの裏事情や不法行為などを暴露する、ガーシーこと東谷義和氏を夏の参院選で擁立することを発表。
「俺達に出来ないことを平然とやってのける」と“ジョジョの奇妙な冒険”の有名なセリフを思わず口にしてしまうような行動力を立花氏は持ち合わせているように思えます。
そんな立花孝志氏とは一体何者なのでしょうか?
簡単にですが、立花氏の経歴を振り返ってみようと思います。
1967年、大阪府泉大津市に生まれ、父・母・姉の家庭に育つが両親はほとんど家にはおらず、小学5年生の時から新聞配達のアルバイトをして生活しており、栄養失調で学校で倒れたことも。
中高時代はケンカやバイトに明け暮れる毎日だった。
ただ成績は常に学年トップだったという。
1986年4月、教師の勧めで日本放送協会(NHK)に入局し、和歌山放送局庶務部に配属される。
1991年、24歳の時にNHK大阪放送局経理部に異動。
1998年、31歳の時にNHK本部報道局スポーツ報道センター(企画・制作)へ異動。
2004年、37歳の時にNHK本部編成局(経理)に異動。
2005年4月、週刊文春でNHKの不正経理を内部告発し、7月に自身の不正経理で懲戒処分を受けNHKを依願退職。
以降はフリージャーナリストとして活動。
また、NHK退職後8年間はパチプロとして、YouTubeにパチンコ必勝法の動画をアップするなどしていたがNHKが受信料不払い者に対して訴訟を起こしていることに目を向け、NHKだけ受信しない装置「イラネッチケー」や、NHKの集金を追い返す方法を説く動画などをアップロードして人気YouTuberとなりました。
そして、2013年に「NHK受信料不払い党」という政治団体を設立。
以降の政治的活動は、立花氏の著書にある著者紹介にてご確認ください。
大阪府立信太高校を卒業、1986年4月NHK入局。和歌山放送局庶務部に配属。1991年7月NHK大阪放送局経理部に異動。1998年7月NHK本部報道局スポーツ報道センター(企画・制作)に異動。2004年7月NHK本部編成局(経理)に異動。2005年4月週刊文春で内部告発。2005年7月31日NHKを依願退職。
以降、フリージャーナリストとして活動。2011年11月11日インターネットテレビ『立花孝志ひとり放送局』の放送を開始。2012年9月『立花孝志ひとり放送局(株)』を設立し初代代表取締役に就任。2013年6月政治団体『NHK受信料不払い党』初代代表に就任。同年7月党名を『NHKから国民を守る党』に変更。2015年4月千葉県船橋市議会議員選挙初当選。2016年7月東京都知事選挙に立候補。2017年11月東京都葛飾区議会議員選挙当選。
2019年7月第25回参議院議員通常選挙比例区当選。同時に同党は政党要件を満たしたため、国政政党の党首となった。同年10月10日、2025年まで任期があるにもかかわらず、参議院埼玉県選挙区の補欠選挙に出馬、参議院議員を自動失職した。
退職してからは主に古巣であるNHK、特に受信料問題への批判を展開していった立花氏。
「最初は既成政党にNHKの改革を期待していたんですが、まったく動く気配がない。だったら自分でやろうと、2013年に『N国』を立ち上げたんです」と、2013年からは自らの手でNHKの改革を促そうと政治団体を設立し行動に移していきました。
・なぜ選挙に当選できる…?
2019年7月の参議院選挙で比例当選し、参議院議員となった立花氏。
この立候補と独特な政見放送、そして当選により立花氏の名前は一躍全国区で知れ渡ることに…。
また、立候補した37名全員が落選したものの、(国会議員が1人以上所属し)選挙区で擁立した候補者の得票率が2%を超えたことで政党要件を満たしました。
今や国政政党となったNHK党。
その執念ともいえる行動は、NHK勤務時代にNHKの裏金作りを強いられたことで“うつ病”になったことや、それを許す組織の体制や体質に疑問を抱いたことが大きく関係しているようです。
「NHKに入局してみると、その受信料で飲み会するわ、不倫相手とS○○するわ、ムチャクチャです。人様から半強制的に受信料をもらっているなら、他の組織以上に襟を正すのが当然でしょう。子どものころからカネに苦労していたので、不正は許せませんでした。これはおかしいと内部告発すると、謝るどころ事実を隠す、知らばっくれるのオンパレード。私は懲戒処分を受け、’05年にNHKを退職しました。
出典 Friday
自身も甘い汁を吸っていれば、その体制を改善しようとは普通は思わないのかもしれません。
ただ、立花氏は苦労した子供時代があったからこそ、変えていかなければならないと本気で取り組むようになったと言います。
立花氏が政治に取り組むようになった経緯は分かりましたが、NHK党はどのような人々が支持しているのでしょうか?
参議院選挙前のインタビューの中で、立花氏はNHK党の理念や支持者について語っています。
QNHK党は何を理念にした党なのですか?
立花:NHKの被害者をお守りするという理念で、NHKを見ていないのに受信料を取られるのは納得できないとか、不公平感があるとか、そういう受信料を払わない人をお守りするためだけに作られた政党です。
Q支持者はどういう方が多いんですか?
立花:我々は党費とか会員とか募集していないので、あまり層は分からないですけど、YouTubeで広がっているので、40代から60代ぐらいの男性ですかね。ただ、NHKの受信料に困っている人は一人暮らしの若い方とか、主婦とか、高齢の方もいるので、支持者は全ての世代じゃないかと思っていますけど、調べたことはないですね。
出典 InFact
SNSやYouTubeを通じ、支持者を増やしていったというNHK党。
2019年7月の参議院選挙で「私ができるのはNHKを改革することだけ。それが実現できれば、議員をやめます」とまで立花氏は豪語し、また「私のような人間が当選するのは、あまり好ましい事ではないと思っている。いわゆる潰すとか、スクラップする人間。でも多くの方が、NHKの問題に関心を持たれた。私が一旦NHKを潰すことによって、新しいものを作っていく事を国民の多くが望まれたのだと思っています」と打って変わって冷静に分析しているように、勢いだけで選挙に臨んでいるわけではないという印象を世間に与えました。
一部ではNHKに対する不満や批判は強いものがあり、そういった人々のニーズを捉えたということなんでしょうね。
現在、某団体と政党の関係がクローズアップされていますが、支持団体を持たない(政党の)候補者は泡沫候補となりやすく、NHK党の“成功理由”は「NHKのスクランブル放送化の実現」を最大の公約に掲げるという一点突破で臨んだことにあるように感じます。
「NHKをぶっ壊す」「改革が実現すれば議員を辞める」など、非常に分かりやすいメッセージは、かつての小泉純一郎元総理に通じるものがあるようにも思えますし、人々を惹きつける何かがあるのかもしれません。
・ガーシーをなぜ擁立…?
今年3月、立花氏はガーシーこと東谷義和氏を7月の参議院選挙で擁立することを発表。
そして、7月10日に行われた参院選では、NHK党が比例代表で1議席を獲得し、全国比例で出馬した東谷義和氏が当選しました。
東谷氏は中東ドバイに在住したまま、オンラインでの活動のみで、なんと東谷氏の名前で約28万7000票の得票があったそうです。
そういえば、立花氏が東谷氏を擁立した理由は何だったのでしょうか?
「毒をもって、毒を制するのが一番の目的。裁判所や総務省、NHK、テレビ局、芸能界、スポーツ界の癒着をつぶしにいきたい。これを突破するのはガーシーの力を借りる以外ない」と立花氏が参院選に白羽の矢を立てたのはアパレル会社社長で、20年以上にわたって、芸能界に携わっていた東谷氏だ。
「芸能界=公共の場で、テレビやラジオを使って商売されている方はプライベートのことも明らかになるのは当然。(東谷氏の暴露は)公共性、公益性が高い。賛否があるのはわかっているが、メディアで取り上げられないのは違和感がある。地上波のテレビに出演してもらいたい」と参院選でNHKの政見放送において、芸能界の闇を暴露してもらいたいという。
出典 東スポ
当初はNHKの政見放送において“芸能界の闇”を暴露することを狙いにしていたようです。
つまり、党への注目を集めるために東谷氏を起用しようと考えたみたいです。
ただ当初、東谷さんは選挙への立候補について「政治はいい」と出馬を見送る考えだったようですが、立花氏のある口説き文句で東谷さんは出馬を決めたそうなんです。
「いくらガーシーが真実を訴えても、詐欺師YouTuberの話は聞かないでしょ」「詐欺師YouTuberが国会議員YouTuberになったら、みんな話を聞きますから」と……。
多くの人は、中身を精査せずに「言っている人は誰か」となるので、詐欺をした暴露系YouTuberよりも現役の国会議員YouTuberが暴露したほうが社会的な影響力は増します。
だから「出ましょう」と言いました。
出典 選挙ドットコム
「現役の国会議員YouTuberが暴露したほうが社会的な影響力は増す」との一言で、東谷さんは選挙への出馬を決めたといわれていますが、実はもう1つ出馬の決め手になったことがあるようなんです。
国会議員には「両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない」という「不逮捕特権」があります。
東谷氏は現在もUAEのドバイに滞在しており、「詐欺容疑で逮捕されないという保証がない限り、帰国する予定はない」と発言しています。
東谷氏の逮捕容疑として想定されているのは“詐欺”。
以上の発言や現ドバイに滞在したままという現状から、東谷氏は逮捕を免れるために国会議員を目指したと考えていいのかも入れません。
ただ、「国会議員は会期中には逮捕されない。ただ、「法律の定める場合を除いては」とあり、これは国会法33条の「各議院の議員は、院外における現行犯罪の場合を除いては、会期中その院の許諾がなければ逮捕されない」を指し、現行犯逮捕や所属する院の許諾があれば、逮捕されることもある」というように、国会議員になったからと無罪放免になるわけではないようです。
日本へ帰国せず、当院を拒み続けると“除名”になる可能性が指摘されています。
たとえ除名にならないとしても党首の立花氏の責任問題になる可能性はありますし、今後の立花氏の動向が注目されますね。
最後までお読みいただきありがとうございます。